このような症状・お悩みはご相談ください
- 歯肉が腫れて赤くなる
- 歯が揺れる感じがする
- 歯が長く伸びたように感じる
- 歯肉が不快な感じをもたらす
- 歯がしみる
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきからの出血
- 歯がねばねばする
歯周病は早期発見・早期治療を
歯周病は進行が遅く、症状が目立ちにくいため、気づきにくいものです。しかし、放置すると症状は悪化していきます。通常、健康な歯肉はピンク色で引き締まっており、出血はありません。しかし、歯肉炎が進行すると、歯肉が赤く腫れてきて、歯磨きの際に出血するようになります。さらに進行すると、歯周炎になり、歯肉が赤紫色に変色し、ブラッシングで出血や膿が見られるようになります。このような歯周病の進行を防ぐためには、早い段階で症状を発見し、適切な治療を行うことが重要です。
歯周病って何？
歯周病は、健康な歯が抜け落ちてしまう恐ろしい疾患です。30歳から40歳代の80%以上がこの病気に罹患しており、静かに進行するため自覚症状がないことが多いです。細菌による炎症が原因で、歯を支える骨が徐々に失われていきます。病状が進行すると、歯が地盤が緩んだ建物のように抜け落ちることもあります。さらに、歯周病菌は口内だけでなく血流を通じて全身に影響を及ぼし、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、早産などの疾患と関連していることが明らかになっています。
歯周病治療って何をするの？
当院では、ブラッシングでは除去できない歯石を徹底的に取り除き、歯周病によって弱った歯に適した噛み合わせを再構築します。歯がグラグラしている場合は、しっかりとした歯と接着して安定させる処置を行い、進行が著しい場合には抜歯を検討します。放置すると周囲の歯にも悪影響を及ぼすため、他の歯に負担がかからないように処置が必要です。欠損補綴として人工の歯を入れることもあります。
歯並びが悪く、歯周病の改善が見込めない場合や、歯周病によって歯が移動した場合は、矯正治療が必要です。当院では、歯石除去をより正確に行うためにマイクロスコープを用いて処置を行っており、複雑な形状をした歯根周囲の汚れも見える化して対処しています。
歯周病の進行症状
健康な歯周組織
- 歯茎は薄いピンク色である
- 歯と歯の間に歯茎が入り込んでおり、弾力がある
- 歯茎は引き締まっている
- ブラッシングしても出血しない
軽度歯周炎
- 歯茎が炎症を引き起こし、歯との間に「歯周ポケット」が深くなる
- ブラッシング時に歯肉からの出血が見られるものの、痛みはまだない
- 歯肉が明らかに赤みを帯びている
- 歯と歯の間の歯肉が腫れており、丸みを帯びている
- 腫れた歯と歯肉の間には歯垢が溜まっている
中等度歯周炎
- 炎症が進行し、歯周病菌が顎の骨にまで到達している
- 歯周ポケットが深くなり、歯が揺れ始めている
- 歯肉が赤色に変色している
- 歯肉全体が腫れている
重度歯周炎
- 顎の骨の半分以上が溶けている
- 歯周ポケットが非常に深くなり、歯がますます揺れ動き
- この段階では、最終的に歯が抜け落ちてしまう
- 歯肉が赤紫色に変色し、歯と接している部分が腫れている
- ブラッシングすると出血や膿が生じることがある
- 歯と歯の間が広がり、食べ物がよく詰まる
- 歯肉が後退し、歯が長く見える
- 歯周ポケットが深くなり、骨（歯槽骨）が溶けてしまう
歯周病の治療
ブラッシング指導
現状のブラッシングがどこに問題があるのかを理解した上で、正しいブラッシング方法を学ぶことが重要です。例えば、歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間、舌の表面など、徹底的に磨けていない箇所があるかもしれません。適切なブラッシング方法を学ぶことで、歯垢や食物の残りを十分に除去し、歯や歯ぐきの健康を維持することができます。
歯科衛生士が丁寧にブラッシング方法や歯ブラシの選び方を説明し、患者様が自宅でも効果的に歯磨きを行えるようサポートしています。
スケーリング（歯石除去）
歯石は、プラークに唾液中のリンやカルシウムが混じって石灰化したものであり、口腔衛生上の問題を引き起こす可能性があります。一般的には、超音波スケーラーやキュレットスケーラーを使用して取り除かれます。これにより、歯垢の付着や細菌の繁殖を防ぎ、口腔内の清潔さを保つことができます。
SRP（歯石除去）
歯科医師や歯科衛生士が行うスケーラリングによって、歯石を除去することができます。しかし、歯周ポケット内にはスケーリングだけでは取り除けないプラークや歯石が付着していることがあります。そのような場合には、ルートプレーニングと呼ばれる方法が用いられます。ルートプレーニングでは、専用の器具を使用して歯周ポケット内の深い部分にまで到達し、プラークや歯石を徹底的に除去します。
歯周外科治療
歯周ポケットが深く、歯槽骨の破壊が進行している場合、歯垢や歯石を通常の方法で除去することは難しいです。そのような場合、歯周ポケットの外からではなく、歯肉を切開して歯根を露出させ、歯垢や歯石を取り除く手術が必要です。この手術は、歯周病の進行を防ぎ、歯と歯ぐきの健康を保つために行われます。
また、歯を支える歯槽骨が大きく欠損している場合には、再生療法が行われることもあります。再生療法では、歯周組織を再生するための特殊な薬剤や材料が用いられ、歯槽骨の再生や歯周組織の修復を促進します。これにより、歯周病による歯槽骨の損失を最小限に抑え、歯の支持力を回復させることが可能です。
メインテナンス
治療が終了した後も、良い状態を維持するためには、定期的な歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃（クリーニング）が必要です。最低でも半年に1回は定期的なチェックを受けることが推奨されます。歯周病の治療が完了した場合は、歯茎の状態を安定させるために、1〜3か月の間隔で歯科医院を訪れることが重要です。定期的なチェックとクリーニングによって、歯周病の再発を予防し、口内の健康を維持することができます。
エアフロー
エアフローは、水と炭酸水素ナトリウム（重曹）やグリシン（アミノ酸の一種）などの微粒子をジェット噴射し、歯の表面を傷つけることなく着色やバイオフィルムを除去します。この方法は、歯周ポケット内の細菌も効果的に除去することができます。
外科処置
スケーリングやSRPなどの歯周基本治療で除去しきれない深刻な歯周病の場合、歯肉を切開し、歯根を直接確認しながら歯周病の原因を除去する外科的な処置が必要です。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周基本治療と同時に行われる外科処置の一つです。この治療では、歯槽骨の欠損部に特定の医薬品を塗布することで、歯周組織の再生を促します。代表的な医薬品にはエムドゲインやリグロス®があり、これらの製品は歯周組織の細胞を増やす働きを持っています。特に、リグロス®は2017年に保険適応になり、広く利用されるようになりました。
フラップ手術
フラップ手術（歯肉剥離掻把術）は、歯周基本治療で解消しない深い歯周ポケットや持続的な炎症が残っている場合に実施される歯周外科手術です。この手術では、歯周ポケットの深さを明確にするために歯肉を一部切開し、感染している組織や歯石を除去します。切開により、病巣を直接目で確認し、歯石の完全な除去や破壊された歯槽骨の修復が可能となります。手術後は、切開した歯肉を元の位置に戻し、縫合します。この手術により、歯周組織を健康な状態に導き、治療効果を最大限に高めることができます。