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咬合・補綴治療計画セミナー第一回を受けて

副院長の斉藤祐紀です。

1/25の土曜日はお休みいただきありがとうございました。今回のセミナーは以前にお話しした咬合、補綴の大家、本多正明先生のプライベートセミナー「咬合・補綴治療計画セミナー」に参加するため大阪まで向かいました。こちらのセミナーは土日の2日間を4セットにした合計8日間に及ぶ大きい勉強会になります。

 

 

本多先生は歯科医師を何年かして、ある程度の勉強を続けていればほぼ必ず目にする名前です。歯科用雑誌などにも高確率で名前を目にします。私自身は本多先生が書かれた補綴に関する本を拝読し大変興味を持たせていただいておりましたが、初めはセミナーの受講までは検討していませんでした。(というのはいきなり尋ねてしまって良いものかと考えてました。)しかし昨年大変お世話になったSJCD会長の大森先生から本多先生のお話を伺う機会が多数あったのと大森先生は本多先生の弟子の一人でもあり、その本多先生のセミナーのインストラクターもされていることからどのようなことが学べるのかを知り、改めて自分に必要な勉強ができると思いました。(そして大森先生が関わっているため伺いやすく感じました。)

 

そもそも大森先生の元で勉強させていただこうと考えたのは先生が「力のコントロール」について造詣が深いからです。歯を悪くしてしまう原因は「虫歯」「歯周病」がありますが、それらは適切な治療と適切な食習慣、歯磨き習慣などの患者さんの行動変容を徹底することで未然に防ぎ、かつ長期予後を望みやすいですが、それら以外の原因、つまり「力」は非常に厄介です。具体的には「噛む力が強い」「はぎしり食いしばりをしてしまう」といった歯に対して余計な強い力をかけてしまうことです。

それによって歯がしみる、すり減る、かける、ぐらついてくる、噛んだら痛くなる、顎関節が痛くなるなどの様々な症状が生じ、2次的に虫歯や歯周病になってしまうといった様々なトラブルがあります。おそらく心当たりの多い患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし「噛む力が強い」、「はぎしり、食いしばり」は虫歯や歯周病のように行動変容が簡単にはいきません。人は起きている時、睡眠時にはぎしり、食いしばりを行いますが、起きている時にその癖がある方は説明、指導で多少の行動変容は見込めますが、睡眠時の「はぎしり、食いしばり」は意識がない分制御が難しいことと日常生活で発揮する力の5〜6倍の力で食いしばってしまいます。ここまでの大きい力で食いしばると歯や顎骨、顎関節が無事であるわけがないことがわかります。

この対策として食いしばりそのもの根絶は現在の歯科ではあまり検討されていません。どちらかというと対処療法がメインとなります。その一つとして手っ取り早いのがマウスピースの着用です。しかし寝る時は用いることは可能ですが、装着したまま日常生活を過ごすのは現実的ではないのと長時間使用すると咬み合わせが大きく変化してしまうリスクがあります。

 

 

ここで重要なのがその強い力に耐え、長くその状態を保つ(Longevity)口腔内を作るということです。これこそが本多先生が長年歯科臨床において行ってきたことです。

最初の2日間はその大まかな流れと咬合の概念などの講義でした。以前に投稿した内藤先生のセミナーに関する東京医科歯科大学(現、東京科学大学)の昔話も多少あったり、診断に先立って本来の人間が行いたい咬み合わせである生理的顆頭位(セントリックバイト)の採り方を本多先生にデモンストレーションしていただきました。懇親会も参加させていただき、本多先生の対面の席をいただきました。先生の歯科医師になられてから現在までの流れ、どのような経験を経て今の理論体系を作られたのかをお話しいただきました。業界で知らない者はいない、とても高名な先生ですが些細な質問にも気さくに丁寧にお答えいただき、セミナー会場ではその質問に対してわざわざ診療室から道具を持ってきて説明いただきました。たくさんのお弟子さんを抱え、多くの歯科医師から尊敬を集める本多先生の偉大さを感じざるを得ません。4か月間というボリュームある研修会ですがしっかり学び当院お越しの皆様方に還元したく思います。

 

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