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冷たいものがしみるとき、噛んだら痛いとき

では、今回は痛みについて見ていきましょう。

1枚目の画像における緑斜線部が歯髄という通称神経と言われる部分です。

 

 

厳密には神経組織と顎骨から動静脈が栄養された組織となります。普段でもアイスクリームなどの極端に冷たいものが当たると間接的に歯髄に刺激が伝わり、痛みを感じます。虫歯が出来ると穴が開くことで歯髄への距離が近くなるので、痛みをより感じやすくなり、歯髄にまで及ぶ虫歯になると刺激がダイレクトに伝わり、激痛を伴います。そのような場合には残念ながら神経を抜く(抜髄)、根っこの治療を言われる根管治療の対象になり得ます。

次は2つ目の画像について。黄色斜線部は歯槽骨と言われる歯を支える骨です。

 

 

そして水色部分は歯根膜という歯と歯槽骨の間に介在するクッションのようなものです。歯茎も含め歯の周りの組織を引っ括めて歯周組織と言います。そこに病態が生じるものが一般的に歯周病と言われるものです。

磨き残しや歯石で炎症が歯肉→歯槽骨、歯根膜へと向かうものが辺縁性歯周炎

根っこの中に細菌感染が生じ、歯根膜、歯槽骨へ炎症が波及したものが根尖性歯周炎

と言います。これらは病態が歯を越えて身体の内部まで進んだ状態であるため、歯科疾患としては重い状態と解釈されます。

いわゆる神経を取ったのに噛むと痛いとか体調が悪いと疼く感じがするというのはこの歯周炎が原因である可能性があります。

この領域になると免疫力とも関わってきて、「体調が良いと調子いいのに、疲れたり不摂生な日々を過ごしてしまった時に疼いてくるなあー」ということもあります。これが根尖性歯周炎といいます。

虫歯が大きく、根管内も感染し、炎症が歯槽骨まで波及した状態です。この状態では歯髄はすでに機能してなく(失活)痛みは歯周組織から生じます。また一度根っこの治療を行っても、治療に不備があったり、きちんと行われたりしても根管内の細菌をゼロにすることは難しく、ごく少量残ってしまい、それが根尖部で悪さをして炎症を引き起こすこともあります。ここでも根管を介して消毒を行うという意味での根管治療(感染根管処置)の対象となります。そして歯根が破折してしまう場合でも同様なことが生じますがこの場合は抜歯になってしまうケースもしばしばです。
ここまで、神経を取ったのにどうして痛みが生じるのかについて長々とお話しさせていただきました。当院では症例に応じてCTを用いて根管の状態を確認し、マイクロスコープで精密なところまで確認して治療を進めております。