仮歯の実際
2024.10.18
前回は勉強会も参加してことを踏まえて仮歯についてお話させていただきました。今回は実際の臨床現場での動きを見ていきたいと思います。
ではそのステップを見ていきましょう。以下は保険適応外のジルコニアクラウン(130000円)の治療の一環で、仮歯を作製する過程です。左上2番で、神経の処置が行われていてコンポジットレジンで土台を作り(支台築造)ました。
そこから歯を被せ物が入るように適切な形に削っていきます。(プレパレーション)前歯なので歯茎のラインも非常にシビアで削る際に歯肉に少し触れてしまうこともありますが、繊細なテクニックで出血させないよう注意します。
次に仮歯を合わせます。
上図の3つ目のお皿に入った粉と液を筆で混ぜていくと柔らかい状態から徐々に硬化していきます。
はみ出し分があったり、形態は良くないですが、これをトリミングしていくと
上手のように綺麗な仮歯は出来上がります。
ここで前歯の形を決める上でたくさんの指標を見なくてはなりません。
まず端的に言えばパッと見て違和感がないか。
この一言だけでも形、色、歯茎との調和など審美面だけでも言葉にすると多くの項目を無意識的に見ることとなります。
そしてその形が決まったとして実際に使っていく際に咬み合わせに問題がないか、舌や頬、唇を咬みやすくならないか、などの機能面も見なければなりません。ここのところを見誤ると長期予後(長持ちするかどうか)にも影響します。
例えば見た目だけを重視した歯を作った結果、噛み合わせが悪く、数ヶ月で破損してしまうなど。
理想的な形を追求しすぎるとどうしても実用性と乖離してしまいます。そこを仮歯(プロビジョナルレストレーション)で経過を見ることで最終的な被せ物のシミュレーションができます。特に過去の治療で被せ物が何度も壊れてしまうケースでそれがとても重要になります。特に噛み合わせのバランスが絡んでくるとその一本を治すだけで問題が解決しない場合もあり、複数本の歯に対してはたまた全顎的な処置を行わないと解決しないケースも少数ですがあります。それにはまず適正な診断が重要です。その診断から適切の行い、長期予後のいい診療を心がけていきます。
斉藤デンタルオフィス
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