世界基準の歯内療法に触れて
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
副院長の斉藤です。12月7日は診療をお休みさせていただきありがとうございました。7、8日は石井歯内療法研修会に参加いたしました。こちらは歯科業界では通称「ペンエンド」と言われるのですが、石井先生がアメリカのペンシルバニア大学の歯内療法学(根管治療の科)へ長いこと留学され、そのアメリカの根管治療における専門医レベルのノウハウを学ぶ場としての勉強会です。根管治療を英語で「エンドドンティック」といい、それゆえ「ペンエンド」と言われます。
石井先生から学んだこととしては
科学的根拠に基づく手技、処置を徹底すること
行えうる最良の処置を行うこと、それには保険制度に縛られないこと
でした。
細かいお話は順番通りに行くとまず日本における根管治療は再治療の割合が世界と比べて非常に多いということ。再治療の割合が非常に少ない国の一つにアメリカがあり、それゆえペンシルバニア大学の方式を取り入れることには意味があります。
では日本ではどのような点が問題でアメリカ式ではどこが優れているのか。それは日本の保険制度に限界があることが大きいです。日本の保険制度は国民皆保険であり、国民全てが平等に医療を受けられるという世界でも稀な非常に恵まれた制度ですが、これはクオリティが高いことを担保しているわけではありません。国が指定する材料で決められた保険点数に従った費用で行うため、最高の、ベストの治療ではなく、ある一定の治療となります。現在では大臼歯においては条件下で根管治療でCT、マイクロスコープの使用が認められているため多少の質の向上はあるかと思います。それでもベストには到底及びません。それが悪いということではありませんがデータとしては諸外国と比べても再治療の割合が高いものとなっています。
ここでデータの話がありますが、日本は元来職人気質の国だからか、歯科は昔は技術職的な側面があり、上の先生から指導していただいたことを継承してそれを実践する側面も少なからずあります。そこから歯科も医療の一部であることを追求しようということで科学的事実に基づき研究も行い、歯科医療を展開しようと国が東京医科歯科大学(現、東京科学大学)を建学した経緯があります。一方、アメリカでは経験則をさほど重視せず、データ、エビデンスを重視してます。
具体的にはAという薬剤を使うのとBという薬剤を使うではAの方がいい結果が出た。だからAを使いましょう、みたいなことをたくさん実験してその積み重ねで治療を進めることです。実際これが再治療の割合を少なくしているわけです。
石井先生が執筆された名著にサインをいただきました。質問にも非常に丁寧にお答えいただいて気さくな先生でよりご指導を賜りたく思いました。
次にできる限りの最善最良の機器を用いることですが、日本においては保険制度により機器が制限されていること、また医療費も決められているためその範囲で可能なレベルの機器つまりほどほどのものではあるがベストではないということです。一方でアメリカは歯科医師が治療費を決められる自由診療が主となるため歯科医師が用いたい機器も自由に決めることができ、いわゆる最良の状態で治療が可能となります。
ただ日本においても自由診療自体は認められているため、保険診療よりはるかに優れた治療を提供することは可能です。
以上を持ってペンエンドの講義となりました。この記事には細かくは記載しておりませんが確かな治療成功のためのエビデンスや最良の治療のための機器のリストも含まれ、考え方としてとても有意義でした。このコースを受講することにより、ペンエンドの実習コースが受講出来るようになります。今後そちらも受講して知識に加えて技術的なところもより高めていきたいです。
セミナー会場が金融街の近くでした。
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